アドベンチャー新登場:ならず者の遺産
開拓地《いにしえの尖峰》を訪れた観察眼の鋭い者たちが、酒場の主「ターシャ」がこのところ奇妙な行動を取っていることに気が付いた。いつもと違い、悩みの原因について口を閉ざしているものの、彼女は子どもの頃のヒーローであった、キャプテン・ブリグシーという伝説の海賊について語り始めた。
古き憧れの人の冒険が彼女の心を動かしていることは明らかである。しかし、ブリグシーとは一体何者なのか? なぜ彼女の名前が、マダム・オリビアなど魔術師たちの間で恐れと軽蔑を孕んで語られるようになったのだろうか?答えを得るためには、「呪われしならず者」として知られ海賊の草分け的存在である人物の歴史をおさらいしよう...
ならず者の由来
ブリグシーは、パイレーツ・ロードに倣い、若くして《海賊の海》へやって来た初期の異端者の 1 人だった。どんな牢獄でも抜け出せるという特殊な才能をすでに持っていたことから、彼女には異彩を放つ呼び名が付けられた。
未開である海賊の楽園に好機と平等性を見出したブリグシーは、程なくして変わり者の冒険者として評判になった。彼女は水平線の向こうにあるどんな場所であろうと、最初に足を踏み入れることを固く決意する。
ほとんどの海賊たちは固い絆を結び、同じ舟に乗り続けることを好んでいたが、ブリグシーはそうではなかった。彼女は気の向くままにクルーに加わったり、他の海賊たちをクルーに呼び込んだりしていたものの、気が変わるとそこから抜け出して孤高の冒険者としての暮らしを再開していた。
しかし、そんな暮らしのなかでも唯一変わらないことがあった。彼女は、当時テディーという者が経営していた酒場「ユニコーン」に足繁く通っていたのだった。火のそばの席に着き、ブリグシーはこれまでの大胆不敵な武勇伝を他の客や、特にテディーの幼き娘ターシャに聞かせては魅了していたのである。話の多くはターシャの手でできるだけ書き留められており、ブリグシーの活躍を色彩豊かに再現した話が何冊にも及んでいる。
ならず者の野望
ターシャが大きくなると、ブリグシーは彼女に将来性を感じたのか、冒険の記念品の他にも海賊として成功する術などの指導を行うようになった。だがターシャの将来の夢は、父親のテディーによって断固拒否されたのである。残念なことに、ブリグシーはこの若き自身のファンに対し、指導する機会を失ってしまった...
この頃のブリグシーは、《黄金海岸》として知られるようになった富にあふれる島への渡航を目指し、《シュラウドブレイカー》という古代の遺物を組み立てていたのだった。かつては長くも渡航は何とかできていた黄金海岸であったが、この頃になると《悪魔のとばり》という死の瘴気によって分離されてしまっていた。シュラウドブレイカーが完成しないと、決して突破できない障壁である。
友人に別れを告げたブリグシーは黄金海岸を目指した。そして、この奇妙な未知の荒野にたどり着いた興奮を抱えてスループを停泊させた。目的地に到着して、彼女は身をもって 2 つの教訓を学んだ。島の宝物は、ゴールド・ホーダーとして名高いガイコツ王の手に渡っていたこと。そして、宝物に触ると強制的にガイコツ王の仲間になってしまうことだ。
ならず者の悲劇
ガイコツに変身してしまったブリグシーは、程なくして追放者として扱われ、海賊に対して敵対心と不信感を抱くようになった。ゴールド・ホーダーに呪いを解くことを約束された彼女は、彼の命令に渋々従いながら、長い間その方法を突き止めようとした。だが、結局は無駄だった。ただし、彼女はシュラウドブレイカーを壊すという命令には従わず、再び解体しただけに留まった。
その決断が仇となり、黄金海岸を目指す海賊たちがこの遺物の失われた欠片を探し始めたのである。ブリグシーを排除すべき脅威としか見ていなかったマダム・オリビアによって、呪われしならず者と対決するために海賊たちが送られた。運命の対決の末、海賊たちは覆い隠されたブリグシーの頭蓋骨を手に、オーダー・オブ・ソウルへと帰還したのだった。
The Rogue’s Redemption
ターシャにとってはどうだったのか?近年、ブリグシーの悪行にまつわる数々の恐ろしい話を耳にして、かつての憧れの人に対する彼女の熱はすっかり冷めきってしまっていた。あの膨大な量の武勇伝を記した本は、嘘ばかり書かれていると思われながらも、ターシャはブリグシーにとどめを刺した海賊たちに自ら手放してしまった。ところが、この武勇伝が本当にシュラウドブレイカーの石に導いたことから、ターシャが子どもの頃から覚えていた通り、ブリグシーは本物の伝説のならず者であったという十分な証拠になったのである。
ブリグシーはこの世を去ったが、ターシャの中にあった尊敬と憧れの気持ちは再燃した。ブリグシーが遺した教えに目を向けたターシャが、生涯の夢を思い出し探検に身を費やすのを誰も止められはしなかった。しかし、ある日突然、彼女は予想もしなかった驚異の事実を知るのである...
今度は君の番だ。かつてのターシャが背負っていた重荷を引き受けることにした海賊たちに、これらの謎と責任を解き明かす仕事が待っている。ブリグシーの教えを読み解き、事実と作り話を分け、マダム・オリビアが大至急探し求めようとしている宝物を突き止めるのだ。12 月 8 日に始まる「ならず者の遺産」は、ターシャの仕事外での冒険の結末に立ち会う瞬間まできっと目が離せくなるだろう...